今の私は上機嫌。
生徒玄関へ向かう足取りも軽やか。
「あ、そうだ……頼くん」
もうすぐそこに下駄箱が見えてから、そう言えば頼くんの分のクッキーもあるんだった!と思い出した私はピタッと足を止める。
……どうせなら、涼くんに頼めば良かった?
いや、でもそれじゃあ特別感に欠けるし。
でも家に帰って2人が同じもの持ってたら、それはそれで……「え!お前も?」みたいになっちゃうのかな。
いや、でも涼くんは気にしないか。
本命は涼くんなわけだし!
頭の中で散々独り言を呟いて、クルッと来た道を戻ろうとした私は
「あ、花」
名前を呼ばれて視線を上げる。
そこにいたのは、片手に黄色のワイヤータイが巻かれたラッピング袋を嬉しそうに持ったまま、見るからに上機嫌の航。
その少し後ろを歩いてくる頼くんが見えて、思わず航そっちのけで「あ、」と頼くんに反応してしまった。
「え?弟はスルー!?」
「ごめん航。頼くんに用事があったからつい」
「ひでぇ」なんて言いながらも、航から上機嫌は消えない。
……良かった。
美和子ちゃん、無事に渡せたんだ!


