花ちゃんは今日も頼くんの言いなり


ここで言わなきゃ!!
勇気だして、涼くんに……って。


ゴクリと唾を飲み込む。



「あ、あのね!これ、涼くんにもらって欲しくて」



言った。

言ってしまった。



放課後の教室前。
廊下の窓からは、中庭で練習を始めたらしい吹奏楽部のチューニングが聴こえる。


教室にはまだ数人残っているらしく、何やら楽しげな笑い声が聞こえて、


目の前にいる涼くんは、言葉を失って目を見開くと「俺?」なんて言いながら自分の人差し指で自分の顔を指さした。


他に誰がいるっていうの。
紛れもなく、あなたです!


そんな思いを込めて、コクコクと数回頷く。



「マジで?……うわ、三津谷からもらえるなんて思ってなかったから」


言いながら持っていたクッキーを、急いでカバンの中へと放り込む涼くん。

あ、やっぱり……迷惑だったかな。


優しい言葉で受け止めてくれたけど、もうすでに飽きるほど貰ってるだろうし。


……やめとくんだったかな。
なんて、今になって後悔が襲う。


だけど───。


「めっちゃテンション上がった!すげぇ嬉しい、ありがとね」

「っ、」


私のネガティブを吹き飛ばすくらい、涼くんが嬉しそうに笑ってくれた。