そんなことを思いながら女子達を見送っていれば
「あれ、三津谷まだ残ってたんだ」
思いがけず涼くんの方から声をかけられて言葉に詰まる。「あー、うん」なんて愛想笑いを浮かべて小さく頷いた。
……ど、どうしよう。
手には涼くんにあげるクッキー。
しかも、気合いたっぷりのラッピング仕様。
私に向かって歩いてくる涼くんは相変わらず整いすぎてて目のやり場に困るし、心臓がバクバク暴れ出す。
さっきもらったクッキーをまだ手に持ったままの涼くんは、私の手に持っているクッキーに気付いて「あ、」と声を漏らした。
うわ……
私もあげようと思ってること勘づかれた?
もういらねぇよ!とか思ってるかな。
ついついクッキーを握る手に力を込めて、ハッと我に返る。いかん!クッキーが割れたら元も子もない。
「三津谷、それ。誰にあげんの?」
「え……っ、あ、これは」
そうだ。
気づくわけがない。
相手はあの、ド天然涼くん。
どんな美人のアプローチもサラッと交わす、本物のウルトラ鈍感ド天然ボーイ。
私がこれからこのクッキーを、涼くんにあげるなんて微塵も考えてない。


