「単純すぎ」

「へへ……だよねぇ。自分でもそう思う」


頼くんの言葉に素直に頷く私を、頼くんはやっぱり真っ直ぐ見つめてて、

「頼くん……?」そう、声をかけようとした私に頼くんは言った。


「髪は短くイメチェンすべし」

「え……?!」

「涼のタイプに染まるんじゃねぇよ。……髪の長さなんか関係なしに、涼に『俺のタイプは花だ』って言わせるくらいじゃなきゃ、いつまでたってもその他大勢の中の1人だと思うけど」

「……っ」


頼くんは「違う?」なんて子首をかしげて私に問う。

違うか、違くないか……それだけで考えたら、答えなんて出やしない。
だって、やっぱり涼くんのタイプに染まる方が、涼くんの目に止まる可能性って高いじゃん。

決して特別可愛いわけじゃない私が、涼くんの気を引くためには、涼くんの好みに少しでも近づく必要があるって思ってた。


でも、確かに頼くんが言うように

髪が長いだけで涼くんに好きになってもらうことは出来ない。そんなことは私だって良く分かってる。

現に、私は涼くんを好きな大勢の中の1人だ。


だけど、もし私が頼くんが言うように髪を切ったら?そしたら私と涼くんの関係は何か変わるの?


ううん……変わらないよ。