「で、どうする?」



軽く首を傾げてフッと口角をあげた彼、五十嵐 頼(いがらし より)くんは涼くんの実の弟で、私よりも1つ年下。



おまけに、私、三津谷 花(みつや はな) の弟である、三津谷 航(みつや こう)の友達と来たもんだ。


航と頼くんは同じ高校1年生で、同じクラスの2人は何かと気が合うらしく、校内でも2人でいるのをよく見かけるし、今日みたいに頼くんが三津谷家に遊びに来ることも少なくない。


初めて遊びに来た時から《涼くんの弟》っていう少し特別な存在だった頼くんは、少し幼いようにも感じる可愛い顔をしている。


控えめな茶髪がサラッと揺れて、頼くんのまん丸の瞳と初めて視線が絡んだとき『うわ、絶対に犬系男子だ!』って信じて疑わなかった私は


『…ジロジロ見んな』



そう呟いて眉間にシワを寄せた頼くんに『あ、これは犬系男子じゃない、ネコ系だ!!』って慌てて脳内で訂正したっけ……。



なんて、回想に浸っていた私は



「聞いてんの?」

「あ、……ごめん!」


再び聞こえてきた頼くんの声にハッとして我に返る。