「なら、たまには察して涼くんが譲ってあげたら良かったんじゃ」
「……それ。あの頃は俺も子どもだったんだよな。頼からわがまま言ってくれるのをどっかでずっと待ってたんだと思う」
「頼くんからわがまま?」
「ほら、”俺もショートケーキ食べたい”って泣かれたら”仕方ないな、兄ちゃんモンブランでいいよ”って。”俺は違うのがいい”って言われたら、”なら、今回は頼の好きなゲームにしよう”って。多分、頼に対してもっと兄貴っぽいことしたいって気持ちだけいっちょ前で、だけど俺より大人な頼に意地張って、あの頃はそれが出来なかった」
”ダサいよなぁ”
そう言って、再びコーヒーカップに口をつける。
涼くんがこんな気持ちだったこと、頼くんは知りもしないんだろうな。そう思うと、涼くんも頼くんに片思いなのかもしれない。
勝手に仲間意識さえ湧いてくる。
「涼くんも、頼くんのこと大好きなんだね」
「そう聞こえた?」
「うん。頼くんの話する時の涼くん、すっごいお兄ちゃんの顔してる」
私の言葉に照れくさそうに笑った涼くんが、見たことないくらい嬉しそうに笑うから、こっちまでつられて頬が緩んでいく。


