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───コトッ
小さく音を立てて、目の前にカップが置かれる。
ゆらゆらと波打つミルクティからは白い湯気。
「ごゆっくりどうぞ」
店員さんの可愛らしい声にハッと我に返った私が慌てて顔をあげれば、私を見つめながらコーヒーカップに口をつける涼くんと目が合う。
「……なにから話すかな〜」
「え?」
「昨日、寝る前に散々シミュレーションしたんだ。今日のこと。……でも、いざ三津谷を目の前にすると全然ダメ」
素の自分を隠すことをやめたらしい涼くんは、いつもよりも言葉遣いに柔らかさが足りない。
正直、違和感しかないけど。
それでもそれを嫌だとは思わなくて。
結局、涼くんは涼くんなんだなって思う私は、どうやらもう素の涼くんを受け入れ態勢に入っているらしい。
「えっと……その、ここの……美味しいね!」
何を言ったらいいのやら。
これから涼くんが何を話すつもりなのか分からないドキドキに、ついつい変なことを口走る。


