それを見逃さなかったらしい涼くんは、フッと口角を上げて、
「やっぱ、頼なんだ?」
意地悪く私を見下ろすから、一瞬ドキッとした。
いつもと全然違う、涼くんの雰囲気。
今までの穏やかで優しい涼くんはどこに行ってしまったんだろうって、辺りをキョロキョロ見渡してしまいたいくらいに。
……涼くんが、頼くんみたい。
「涼くん……?」
「みんなから天然って言われてるけど、実は普段のキャラ、人工だって言ったら引く?」
「……あ、あの……」
「勝負に隠しごとはなしかな、と思って。三津谷にだけは特別に本当の俺、見せる」
「本当の、涼くん?」
「まー、とりあえず。カフェにでも入ろう」
”話はそれから”
そう言って、サラッと私の手を握りしめた涼くんは、近くのカフェに向かって歩き出す。
突然、涼くんのひんやり冷たい手に触れて、やけに自分の手が熱を持っているみたいに感じる。
今まで見てきた涼くんは、本当の涼くんじゃなくて、今目の前にいる口調も仕草も何もかも、頼くんと重なるような、少し強引な涼くんが本当の……涼くん?
……もう、よく分かんないよ。


