花ちゃんは今日も頼くんの言いなり



***


デートじゃない。
デートじゃない。


そう自分に言い聞かせて、待ち合わせ場所までやって来たのが3時間前。


緊張でいっぱいの私とは反対に、いつも通り穏やかな涼くんは、いとも簡単に私を自分のペースに引きずり込んだ。

楽しく遊びに繰り出すつもりなんて、サラサラなかったのに、目の前に映画の前売り券を差し出されて断ることができず……。


「さすが、今1番売れてる映画だけあって、面白かったね。ラストもハッピーエンドでスッキリした」


「うん、感動したね。まさか涼くんがラブストーリーを選ぶとは思ってなかったけど」


「そう?俺、結構好きだよ。恋愛モノ」


「へぇ、意外。涼くんはアクションとか観るんだと思ってた」


結局、涼くんの隣で最新ラブストーリーが上映されるスクリーンに夢中になってしまった。



「まぁ、頼なら観ないかも。アクションとかホラーとか、デート向けじゃないもの選ぶだろうな」


「……っ、確かに。頼くんは、ラブストーリーなんて寒気がするって言いそうだね」



突然の頼くんネタに、ほんの少し肩が揺れた。