ええい!こうなったら緑茶だ!と、点灯した赤いランプに売り切れじゃないことを確認してから、
ようやくボタンを押そうと手を伸ばしかけた時、
「優柔不断」
「えっ、」
───ピッ
よく知った声が耳元で聞こえたと思った次の瞬間には、まるで私を背中から抱きしめるみたいに包み込んで、私より早くスポーツドリンクのボタンを押した。
お腹に回された左手にドキドキして、喉がカラッカラに渇いていく。
「……な、何してるの」
「んー?次、体育だから着替えに行くとこ」
「そ、そうじゃなくて……!あの、頼くん」
私が聞いてるのはそういう事じゃなくて。
ガコンッと音を立てて落ちてきたスポーツドリンクを拾うこともせず、私の首元に顔を埋めるように私を後ろから抱きしめる頼くん。
頼くんの息が首筋をくすぐる度に、くすぐったくて身をよじりたくなる。
「……っ、」
「花、甘すぎ……」
「え?あ、甘……?」
「変な気になるから、襲われたくなかったらこの匂い禁止」
そう言って、私を抱きしめる腕を緩めた頼くんからフワッと頼くんの匂いがする。