花ちゃんは今日も頼くんの言いなり



ヘラヘラッとおどけて見せてから、スッと立ち上がった私を、頼くんが視線だけで追うのが分かった。


そろそろ航も戻ってくるころだろうし、自分の部屋に戻って、さっきの復習でもしよう。


『じゃあ』と片手をあげて、ドアノブへと手をかけたとき、



「……明日、俺んち来る?」


「へ?」



頼くんの口から発された思いもしなかった言葉に、考えるより先に体が振り向いていた。



【明日、俺んち来る?】


脳内をリフレインする言葉に、追いつかない思考。そ、それって……一体?



「すっげーマヌケ顔」


「だ、だって!!頼くんが急に……」



思いのほか大きな声が出て、頼くんが「うるさ」と眉間にシワを寄せる。



だって、【俺んち来る?】だよ?
なんで?どんな誘い!?


なんか心臓破裂しそうなくらいうるさいし、冷静になろうとすればするほど、冷静じゃいられない。



「俺がなに?」


「よ、頼くんが急に変なこと言うから」



ジトッと頼くんを軽く睨んで、唇を突き出す。
そんな私に今度は「は?」と漏らした頼くんは、次の瞬間には「あぁ」と何かを察して。


最後は、フッといつもみたいに鼻で笑う。