「だめ」

「……え?な、なにが?」

「涼のハチマキ、このまま俺が預かる」




ニッと笑って、あたかも当然みたいな顔で、私から白いハチマキを遠ざけた頼くんに驚いてしまう。


え?なんで!?
だって、それ白いハチマキだし。
頼くんは紅いハチマキしないといけないじゃん!


何一つだめなんかじゃないよね!?




「どうして!?……白組なのに紅いハチマキは目立ちすぎるよ。頼くんもそうでしょ?」



いくらみんなが私たちが借り物競争で走ったところを見てるって言っても、終わってからもずっと交換してるなんて、変な誤解を招きそうで。


それに、せっかく涼くんが交換しようって言ってくれたのに、それをさらに頼くんと交換することになったら合わせる顔がない。



「紅いハチマキで嫉妬を煽れ」



どうしたら頼くんから白いハチマキを取り返せるのか考えていたら、ふと頼くんの言葉が耳に流れ込んできた。



「……え、嫉妬を……煽れって?」



なにそれ。


「あの涼が、自分からハチマキ交換するなんて奇跡にも等しいわけじゃん?」