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あれから、私の頭に自分のハチマキを巻いて満足気に笑った涼くんにねだられて、私も涼くんに自分のハチマキを巻くことになった。
手は震えるし、涼くんの方が背が高いこともあって、必然的に背伸びをして。
おかげでもっと近付いた距離に、頭がクラクラして何も考えられなくなった。
今でも、鼻について離れない涼くんの匂い。
同じ家に住んでいても、やっぱり頼くんとは違う匂いがする。
頼くんはもっと、爽やかでほんのり甘いシトラス系の匂い。多分あれは香水じゃなくて制汗剤だ。
って、私は匂いフェチか!
「ちょっと!始まる、早く!」
「わ、美和子ちゃん待って、始まるって何が?」
クラスの応援席に座ってぼんやりそんなことを考えていた私を、早く来いとばかりに美和子ちゃんが立ち上がらせた。
体育祭は紅組がリードしていて、今のところ白組は2位。青と黄色が最下位対決と言ったところだ。
「航くんの借り物競争!最前列で応援してたら、借りられるかもしれないでしょ?だから、ほら!行くよ」


