「あのさ、昨日……、放課後」
「え?」
途切れ途切れに発される涼くんの言葉の意味がわからなくて、思わず首をかしげて聞き返す。
……あれ、てかこの状況。
今ならハチマキ、交換して欲しいって言えるかも。
やっとチャンスが回ってきた!!
あとは、勇気を出すだけだ。
「昨日の放課後、本当はあの時、コレ……交換して欲しいって言うつもりだったんだけど」
右手を私に向かって差し出して「もう誰かと交換しちゃった?」なんて控えめに聞いてくる涼くんは、困ったように笑っている。
「……ハチマキ、え!?り、涼くんのと私のを!?」
やっと涼くんが言った言葉の意味を理解した私は、分かりやすくテンパる。
いや、だって!!!
あのド天然の涼くんが、まさか自分からハチマキを交換して欲しいなんて……それも、私と。
そんなことが、ある!?
夢!?
こんなにも日差しがジリジリと肌を焼くように照りつけて火照った体の熱とか、やけにカラカラと渇いた喉とか、私を見つめる優しい涼くんの瞳とか。
こんなにもリアルなのに、どうしても簡単には信じられない。


