ことあるごとに、ベランダの隅のはしごを登って上の階の幼なじみの北乃祐希の部屋に行く。

これはもう、11年前のあの日から当たり前のことになった。




11年前のある春の日。



ドン!!



鳴り響くサイレン。

大きな音とともに、小さな男の子がベランダに舞い降りた。
正確には、落ちてきた。上の階のベランダから。



「茜!?どうしたの!?」


大きな音を聞きつけ、リビングにいたお母さんが駆けつけてきた。

「え!?」