差し出された手のひらに、自分の小さな手を重ねる。


どうしよう。笑みがこぼれちゃう。



「これから、よろしくね」



好きだよ。


多分、モブ男くん……じゃなくて、菅谷くんだから、好きになった。



私はプライドが高くて、ひねくれてて、ちょっとしたことで怒ったり泣いたりしちゃう。


変なところで見栄を張って、自分の気持ちに嘘ついて言い訳を言っちゃうから、何度もケンカしちゃうかもしれない。


それでも、この気持ちはずっと胸の中にあるから、離れていかずにそばにいてね。


言っておくけど、これは命令じゃなくて、超絶可愛い彼女からのお願いだから、聞いてくれるよね?



「うん、よろしく」



菅谷くんの頬は、ほんのり赤くなっていた。きっと私の頬は、その何倍も濃い赤で染まっているんだろうな。


こんなに素敵な私が彼女になったんだから、ちゃーんと幸せにしてよね。私もその分、菅谷くんを幸せにしてあげるから。



モブ男くんが好きなんて、ありえなくなかった。


これからは、菅谷くんのことを心の中で、“モブ男くん”じゃなくて“彼氏くん”って呼ぼうかな。




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