いつになく凛々しい菅谷くんの声に、私はゆっくりと視線を菅谷くんへ移す。
モブ男くんが好きって気づいた瞬間に、振られちゃうの?この私が?
そんなの……なんかちょっとだけ悲しい。
好きな人と結ばれない可愛い私は、まるで悲劇のヒロインね。
「俺も、好き」
私の揺れてる大きな瞳で、菅谷くんの照れくさそうに首に手を回す姿を捕まえる。
今、菅谷くん、なんて言った……?
私のことを嫌いだと拒絶したわけでも、ごめんなさいって振ったわけでもなく、頷いてくれた?
え、な、なんで?てっきり振られると思ってたのに。
「ずっと前にさ、雑用手伝ってくれたことがあっただろ?」
「う、うん」
「その時の壮馬の優しさに、惹かれてたっていうか……」
トクン、と甘い音を立てて跳ねる私の心。
涙がこみ上げてきて、泣きそうになる。



