リョクは開けていた窓から私を乗せたまま飛び出した。 ベランダの柵も軽々と飛び越えて隣の家の屋根へと飛び移り、またその隣の屋根へと飛び移って……を繰り返し、とうとう優ちゃんの家に着いた。 「リョク、ありがとう」 リョクの背中から降りながらお礼を言う。 「いいさ、このくらいどおってことねぇ」 およそ1時間ほど私を乗せて猛スピードで走ったのにも関わらず、リョクは疲れている様子ではなかった。 「(さ、流石…)」