【企】悪い先生で、ごめん

「勉強は、かける時間より質だと思ってる。だから中3の今からでも巻き返すのは可能で、どれだけ要領よく…いかに要点を頭につめこめるかが大事なんじゃないかな」

なるほど。もっともだ。

だけど捻(ひね)くれているわたしは、それは元々頭がいい人の主張で、わたしのように要領も悪ければ記憶力もさほどない人間は時間をかけることでしか解決しない問題だってたくさんあるのに、と思えてならなかった。

と、そんなことを考えているのがバレたのか、先生はこう言った。

「納得いかないって顔してる」

「べ、別にそんなことっ……」

「言ったよね、思うことあったらどんどん言ってくれていいって。問題もそうだけど、俺の意見にだってどんどん口出してね?」

「……っ、こんなこと言うとバカだと思われそうですが」

「なに?言ってみて」

「問題を解いていて、なにがわからないのか、わからなくなってくるんです。要点を理解する以前に、基本的なことすら理解できてないといいますか。だけど、そんなことを今言っても手遅れな気がして」

言った側から、恥ずかしくなってきた。天才には理解できない発言だろうと思う。