【企】悪い先生で、ごめん

「〝息子は今年受験生なんです。幸ちゃんはまだまだ受験のことは考えなくていいものね〟なんて俺の母さんが言うもんだから、幸ちゃんが俺に向かって、『頑張って下さいね!』って言ってくれたんだ」

___!

「思い出しました……!たしかに、わたし言いました!なんか凄く難しい大学狙ってるとか聞いてつい、応援したくなって。あれ、米司さんだったんですか!?」

雰囲気が、全然違う。失礼だけど、今の方が若々しいというか。

「俺、あの時の言葉がすっと心に響いてさ。君の笑顔が可愛いと思った。ただ、君はまだ小さかったから、俺の君に対しての想いは恋心とかじゃなかったけど。それでも君のことは素敵な女の子として俺の中に記憶に残ってたんだ」

「………そんな」

「それで、今年に入って母さんが〝安元さんの娘さんが今年、受験生らしくて。でも、伸び悩んでるそうよ〟ってお節介にも俺に話を振ってきた。それで、俺は君の力になりたいと思った。だから……もう、わかるよな?」

「わたしのお母さんに、話をもちかけてくれたんですね?」

「うん。そういうこと」