【企】悪い先生で、ごめん

「俺さ……ずっと、無理してた」

「え?」

「幸ちゃんの前で、カッコつけてた。ほんとは余裕なんてないくせに、クールを装った」

「どうしてですか?」

「ほら、俺……幸ちゃんより5つも上だろ。なのにほんとは、女の子に対して免疫がないんだ」

「えぇ……?だけど、大学で彼女できたって」

「それはホント。入学してすぐ告白された子と付き合ったんだけど、すぐに別れた。マジメすぎてつまらないって言われちゃったよ」

「………!」

「女の子の気持ちを理解してあげられないんだ、俺。せっかく好きだと言ってくれても、何一つ答えてあげられない。そんなダサい自分を知られるのが……怖かった」

「そんなこと、ないのに。米司さんは、米司さんの良さがいっぱいあるのに!」

「だからさ、それは俺が君より年上だから色眼鏡で…」

「そんなんじゃないです!!」

自分でもビックリするくらい大きな声で、反論していた。

「わたし、ほんとに米司さんのこと素敵だって思うんです。頭がいいことはもちろんですが、わたしにかけてくれる言葉もそうですし、なにより、一緒に頑張ってくれるのが本当に嬉しくって」

「幸ちゃん……」

「だけどそれは、全部、お母さんに頼まれたからであって、米司さんの意志じゃないですもんね……」