【企】悪い先生で、ごめん

違う。

この気持ちが、勘違いなはずがない。

どうして、そんなことを言うの…?

わたしの気持ちに米司さんが答えられないというなら、それを受け入れるしかない。

だけどせめて、この気持ち自体を否定することは、やめて欲しい。

それは、米司さんがわたしに初めて示した〝拒否〟だった。

これまでは、どんなガキっぽいことを言っても、否定しないでいてくれたのに……。

ちらっと米司さんを見ると、困った顔をしてる。

やっぱり。わたしの気持ち、迷惑なんだ……。

「ごめん、幸ちゃん。泣かせるつもりじゃ___」

「す、すみません!ちょっとコンタクトずれちゃったみたいで……」

我ながら、苦しい言い訳だ。

「洗面所行ってきます!!」

わたしは、米司さんを困らせたいわけじゃない。

むしろ、よくしてもらってるんだから、絶対に困らせたくない。

だから、この気持ちには蓋をしなくちゃいけない。

今わたしがすべきなのは、米司さんへ恋をすることじゃなくて……K高に受かって、米司さんに笑顔でお礼を言うことなんだ。

そのために、わたしはたった今から、この気持ちを……封印する。