【企】悪い先生で、ごめん

米司さんにちょっと行ってくる、と言い残して玄関先まで猛ダッシュで降りる。

「ほらよ」

「明日学校で渡してくれて良かったのに」

「黙って受け取っとけ」

「……ごめんね。わざわざ、ありがとう」

「なぁ」

「ん?」

「お前、にーちゃんいたか?」

「へ?」

振り返ると、そこに、米司さんがいた。

「………っ!?」

「そろそろ帰るよ。今日も、ご馳走さま」

「と、とんでもないです!わざわざ来て下さって、ありがとうございました!ゆっくりしてってもらっていいのに……」

「いいんだ。……なんか、お邪魔みたいだし」

そう言って、米司さんは行ってしまった。

「わり。なんか俺、邪魔した?」

「別にっ…」

「あいつが、お前の好きなやつ?」

「え?」

「昼休みに話してた…」

「………!りょ、諒に関係ないでしょ」

「だったら、脈ありなんじゃねーの?」

…………え?

「なんか、俺を見る視線が冷たかったというか。妬いてたように見えたけど」

「ま、まさかぁ」