【企】悪い先生で、ごめん

スマホをタップして、電話に出る。

「諒…なに?」

『なに、はないだろ。お前、大事なもの落としてねぇか?』

「へ?」

大事なもの?

それって………

「まさか……財布?」

慌ててスクールバッグを覗き込むと、そこにあるはずの財布がないのだ。

『その、まさかだよ。バカなのか?』

「う、うるさいっ……」

『ドジすぎ。仕方ないから、持ってきてやった』

「へ?」

『今、お前の家の前』

「うそっ?」

思わずわたしは、部屋の窓から1階の玄関の前を見下ろすと、そこに諒がいた。