「安元(やすもと)の成績じゃ、K高は厳しいだろう」
進級早々、個人面談にて。
担任の先生にそう言われたわたしは、肩を落として家に帰った。
「やれるだけ、やってみたら?」
そう言って、わたしの肩をポンっと叩くお母さん。
1年の頃からわたしがK高を強く志望していて、それでいて成績が伴っていないことをお母さんはよく知っている。
だからこそお母さんが、突然あんなことを言い出したのだけれど___。
『幸(さち)!!この方は、今日からあなたの家庭教師になる、米司(よねじ)先生よ!!』
………へ?
『なんと、東大生よ!東大!わかるわよね?』
そりゃ、もう。天下の東大ですから。
『いやー、もつべき者は、優秀な息子さんを持ったパート仲間よねぇ』
え?その人、お母さんのパート先の人の息子さんなの?
『毎週水曜日と金曜日、夕方に来てもらえることになったから。まっすぐ帰ってきなさいよ?』
いやいやいや。
なに勝手に、決めちゃってるの…!?