それから、1ヶ月が過ぎたある日のこと。

「幸さ、最近水曜と金曜になると急いで帰るよね」

昼休み、教室でそんなことを言ってきたのは、友達の佑佳(ゆか)。

「ほんとそれー。なにかあるの?」

と、友美(ともみ)。わたしは学校ではこの佑佳、友美と3人で行動してる。

昼休みは一緒にお弁当を食べ、放課後は教室や部室で他愛もない話をしたり、その帰り道に買い食いをしたり。

部活は『家政部』という、名ばかりの部活。特にこれといった活動をするわけもなく、週に3回家庭科室に集まり女子会をする。

全員なんらかの部活に入らなければならないという校則のもと、運動部や、運動部並み(いや、それ以上かもしれない)に練習の厳しい吹奏楽部といったハードな部活を避けたい女子たちが入部する。

それが、うちの学校の家政部だ。

「実は……お母さんが、家庭教師呼んじゃって」

「えぇ?カテキョ?まじめか!」

「まー、うちらも受験生だもんねー」