青蝶を包む朱い羽



前からいつもの優しい声が聞こえ、
覗いてみると、陽希が立っていた。


「おはようごさいます、陽希」

「はい、おはようごさいます。
ところで、拓哉と若は?」

「今頃、上でイチャイチャしてますね」

「へ?」


さっき上で話したことを伝えると
陽希は苦笑いで私をみていた


「それは、貴方が綺麗だからですよ?
どこの女に比べても貴方は負けてません」

「そんなわけ・・・ないです」


いろいろと話しているとエレベーターから
降りてきた莉月は急いで
私のことを抱き締めた。


「どこへも行くな」

「莉月?」


莉月の身体は微かに震えていて、
何かにおびえていた。
私は後ろに立っている拓哉を見ると、
笑っていたのでまさかと思った。


「拓哉?覚悟あります?(黒笑」

「え?!や、すみません!」


慌てて、頭を下げた拓哉を見下ろし
私は抱き締めたままの莉月を撫でる。


「莉月?この馬鹿が何を言ったのかは
わからないけれど、私はどこへも行かない
私の居場所は貴方の所でしょ?」

「あぁ・・あぁ」


何度も頷きながら私の存在を確かめるように強く抱き締められた。