青蝶を包む朱い羽



へぇ・・・この下って仕事場なのか


「え!?」

「事務所だ。いただろ?」


そういえば誰かいたようだし、
声も聞こえた気はするな・・・


「なら、仕事行ってきて?
待ってるから」

「・・・」


黙り込んでしまった莉月をどうにかしてでも仕事に行かせようと
思ってはみたものの一向に動いてくれない。


どうしたものか、と考えていると
思いついたことがあった。


「莉月?食べ物は何が好き?」

「?・・・和食」

「なら、お昼は和食にしよう?
作っているから仕事頑張って?」

「っ!わ、わかった」


顔を赤くなったのは気のせいだろうかと
考えていると、莉月は
寝室に行き着替えにいった。


「見たかよ陽希~あのデレデレの莉月」

「始めてみたな」

「そうなんですか?」


私がそう聞くと、同時に頷いた2人。
本当にないんだな、と思っていると
寝室から着替えてきた莉月。
手には何故かネクタイがあり、
私に差し出してきた。

たぶんそれはやってくれとの合図だな、と思い、私は莉月の傍に行きネクタイを
少し緩く結んだ。