青蝶を包む朱い羽



「えっとね?あまり人を信用してなくて、
口数も少ない。人嫌いにも見える。
だけど根はとても優しい人
それにね?莉月はとても信用してるように
見えるかな?」


私がそう答えると、いつの間にか目を覚ました拓哉さん同様に2人までもが
目を見開いて固まってしまった。


「り、莉月?」

「ブッアハハハハハ・・・よかったじゃねぇか
陽希、どうやら未来の姐さんは
人を見る目が確からしい」


笑いながらもそれを陽希さんに伝えた莉月はどことなく嬉しそうに感じた。


「えぇ、これは頼もしい限りですよ」


そんないいことを言ったつもりはないんだけど、喜んでもらえたしいいのかな?
まぁ・・・喜んでくれたのなら
いいかもしれない。

「フフ」

「っ!わっ笑った!真白ちゃんが笑った!」


そう言いながら慌てている拓哉さんに
口を開けてる陽希さん。


そういえば・・・母さんが死んでから
すぐに遺産取られて、売られたからな・・
笑ったのは母さんが生きていた頃以来
ないんのではないだろうか。


そうか・・・私はまだ笑えるのか。


「そうみたいです。」


うまく笑えているのか。
今は笑っているのか・・・それはまだ
わからないけど、私を見て嬉しそうに
している所を見れば
笑えているのだと安心できた。


ここにきてから、たくさんの感情を
取り戻せた気がする。
闇としか向かい合う事のできなかった
過去の私は・・・鎖に縛られて、全てに
絶望して、売られた先の誰かに
『死ね』といわれていれば、私はすぐに死んでいたかもしれない。


だけど、今の私は・・・どうだろうか。
いや、莉月が言えば私は死ぬかもしれない。