青蝶を包む朱い羽



「まずは自己紹介したら?」

「そうだな。初めまして
若の側近をしています。東堂陽希と言います。若姐さん」

「若・・姐さん?」


何の意味かわからず首を傾げながら
まだ髪を弄っていた莉月に
顔を向けるとどうやら若の女という事らしい。


「私はそんないい者じゃありません。
噂が広まれば莉月や貴方がたの迷惑に
なりますし」

そう言うと、後ろで髪を弄っていた莉月が
ムッとしながら・・・

「余計なことは考えるな
お前は俺の女だ」


なんて言いながら私の首筋に顔を埋めた。
なんだか落ち込ませたみたいで
頭を撫でていると莉月の抱きしめる力が強くなった。


「ごめんなさい」

「敬語はやめろ。他人みたいだ」


いや、本当に他人みたいなものなんだけど
しょうがないか・・・


莉月は顔を横に向け半端上目遣いの
まるで子犬のような状態で言われたら
断れませんよね。


「わかり・・・わかった」


莉月は満足したようにまた顔を埋め、
私の匂いをかいでるみたいだ。

犬だな、まるで・・・


「見てよ陽希~あの冷酷非情の帝王が
まるで犬・・・」

     バ キ ッ

今の音は気にしないで下さいね?
たんなるぶつかった音です。
うん、そういうことにしておこう。


「あの・・・東堂さんは・・・」

「陽希でいいですよ」

「えっと、陽希さんはいつからここに?」

「俺は高校の時に若に拾ってもらいましたね。ほとんど奴らは皆そうです。」

「そうなんですか。やっぱり優しいね
莉月は」