「他に聞いたことはありませんか?」

と、女の子のお母様が尋ねます。
 
 天耀は頭を捻り、一生懸命思い出そうとします。

「えーと、えーと……ぼく、嬉しかったの! ぼくのお兄さまと同じように、お嫁さんを見付けてくれたから!」
 
 元気に答えた内容に

「――!?」
 
 龍の子のその言葉に、お父様とお母様は目を大きく開いて唖然とします。

「それでね、ぼく、嬉しくて『じゃあ、今から行きます!』って言ったらお父さんが『まだ早いから、それにお嫁さんのお家に聞いてからだよ』って言ったの。でも、ぼく、嬉しくて我慢できなくて夜にお家を出てきて聞きに来たの!」
 
 そして天耀は、女の子の手を両手でギュッと握りました。

「この子がぼくのお嫁さん? ねえ、お名前は? なんて呼べば良いの?」
 
 女の子は手を握られたまま固まったままです。
 
 だって『押し売り』で『お嫁さん』ですよ?
 
 龍の子は無邪気に女の子の手を握り、クルクルと回り始めるし。
 
 女の子のお父様とお母様は次第に可笑しくなってきて、最後には辛抱堪らんと大笑いしました。