「理菜? 顔赤いけど・・・


熱でもあるのか?」


そう言いながら 洋樹君は


私の前髪を上げて


額をくっつけた


ドキン ドキン・・・


うわ・・・


こんな至近距離で どうすれば


いいんだろう?


私は 上目遣いで


洋樹君を見る形になってしまった


「・・・熱はないな


でも 少し熱いな」


ドキン ドキン・・・


さっきから ドキドキが


おさまらない


「あの・・・私なら


本当に大丈夫だから!」


そう言って 洋樹君から離れる


落ち着かなきゃ・・・


落ち着かなきゃ・・・


何度も自分に そう言い聞かせる


さっきまで 肌寒かった風が


涼しく感じた


「私・・・急用思い出した!


先に帰るね!?」


「おい・・・理菜?」


私は その場を走り去った


ドキン ドキン・・・


何やってるの?


さっきの事を 思い出す


あれは・・・不可抗力みたいな


モノだよね


「はぁ・・・ はぁ・・・」


止まって 膝に手を置いて


息を整えた