黒い日傘をさした女

「松原美蘭・・」


と俺は復唱するように口の中で呟いた。


「由美子はキャバクラでバイトしてた時の源氏名」


と由美子・・いや美蘭は微笑んだ。



「何で由美子って言ったの?」


と俺は聞いた。


「あら、ナンパされた男に本名言う必要ある?」


と逆に問い返された。


「まあ・・確かに」


と俺は仕方なく納得した。


「他にご質問は?」


と美蘭は妖しく微笑んだ。


「歳は・・まあ俺より上だよね。


 彼氏いるの?」


と俺は聞いた。


美蘭は、フフッと笑って


「いないわ」


と答えた。



本当かどうかわからないけど俺はホッとした。


ワイングラスを持って


「乾杯」


と言った。


美蘭もワイングラスを持ってカツンと鳴らした。


「乾杯」


と言って美味しそうにワインを口に含んだ。


「うん、美味しいわ」


と喉に流し込んだ。


「高そうだな」


と俺もワインを飲んだ。



「どう?」


と美蘭は悪戯っ子のように俺を見て笑った。


「ああ、確かに美味い」


と俺は答えた。



マジでこのワインは今まで飲んだ中で一番美味しかった。