☆☆☆

10分間、あの部屋に入る。


あたしはベッドに寝転んで天井を見上げながらそう考えた。


あの部屋に充満しているものが体に影響を与えているとしても、その影響には個人差がありそうだ。


1度、健と2人であの部屋に入った時の事を思い出す。


あの時健は体に変化を覚えていた。


だけど、あたしは特に何も感じなかったのだ。


薬品と同じで体質などによって変わるみたいだ。


ゴロンッと寝返りを打った時、ノック音が聞こえてきてあたしはドアへと視線を向けた。


「明日花、入っていいか?」


健の声にホッと胸をなで下ろす。


「いいよ」


上半身を起こしてそう言うと、健が部屋に入って来た。


健は迷うことなくあたしの隣に座り、緊張した表情で俯いた。


「大丈夫?」


「あぁ。でも、少し緊張してる」


「そんな風に見えるよ」


あたしはそう言い、健の手を握りしめた。


明日あたしたちはどうなってしまうのか、緊張と不安で一杯になっている。