「例えばさ、俺たちが来る前にも同じように連れてこられた奴らがいるんじゃねぇの? その人数が7人だったのかも」


そうかもしれない。


こんな手の込んだ事をする犯人だ。


何度も繰り返し犯行を行っているかもしれない。


でも……。


「それなら、きっと犯人は椅子を1つ減らすくらいの事、すると思う」


あたしはそう言った。


ここまで準備ができるのなら、この建物を完璧に仕上げるだろう。


椅子だけ余らせるような事は、考えにくい。


「だったら、あたしたちは元々7人連れて来られるハズだったってこと?」


伶香が眉間にシワを寄せてそう言った。


「そうだとすれば、きっとその7人目は鍵のかかった部屋を使う事になったんじゃない? それがいなくなってしまったから、カギがかけられたままなのかもしれない」


ただの憶測だったけれど、あたしは自信を持ってそう言った。


犯人はあえて7脚の椅子を用意しておいたとしか、思えなかったから。


「7人目って誰だよ」


弘明が聞く。


しかし、その質問に答えられる人間はここにはいなかったのだった。