「話はまだ終わってねぇぞ!!」


後方から弘明の怒号が飛ぶ。


「やめて! 喧嘩なんてしてる場合じゃないでしょ!?」


健へ向かって走り出す弘明の体を、抱きしめるようにして伶香が止めた。


「あいつが犯人かもしれねぇんだぞ!?」


「そうだけど、今は喧嘩しても意味ないじゃん! 助けが来ないと、あたしたちずっとこの建物にいなきゃならないんだよ!?」


伶香の言葉にようやく落ち着いたように弘明が軽く舌打ちをした。


「トシの体を片付けるんだろ?」


ドアの前で立ちどまり、健がそう聞いて来た。


「う、うん」


「わかった。今はとにかくその事に専念しよう」


健はそう言い、ドアを開けた……。