「じゃぁ、これから二手に分かれて探すか」


そう言ったのは弘明だった。


「俺と伶香とトシの3人は屋上へ上がる階段を探す。健と明日花と郁美の3人は小道の先がどうなっているかを見てきてくれ」


その言葉にあたしは健を見た。


健は「あぁ、かまわない」と、頷く。


さっきから黙ったままの郁美は、あたしと目が合う前に視線をそらされてしまった。


やっぱり、昨日から郁美の様子は変だ。


不安に感じながらも、あたしは健の後をついて歩き出す。


「郁美、大丈夫?」


一番最後に歩き始めた郁美に声をかけると、郁美は無理やり笑顔を浮かべた。


「別に、大丈夫だよ」


しかしその笑顔はひきつっていて、とても大丈夫には見えなかった。


「体調が悪いとか、不安なら言ってよ? なんだか昨日から口数も少ないし、どうしたのかなって――」


そこまで言ったあたしの言葉を遮るように「なんでもないってば!!」と、郁美が大きな声を上げた。


その声は森の中に反響し、あたしは驚いて郁美を見た。


「おい、どうしたんだよ?」


健が立ち止まり、目を丸くしてあたしと郁美を見る。


「な、なんでもないよ」


郁美はそう返事をするとまた無言になって歩き始めたのだった。