「1人でいると、いろんなことを考えてダメなんだ、俺」


そう言い、頭をかく健。


健も部屋で1人でいることが不安だったみたいだ。


そうとわかると、なんだか嬉しくてほほ笑んだ。


「あたしも同じだよ」


そう言い、健を部屋に入れる。


「森の中から動物の声が聞こえても不安だもん」


「あぁ、わかる。建物の中はたぶん安全なんだろうけど、それでもこの窓を破って入ってきたら……とか、考えるよな」


健がそう言うので、あたしは意識して窓を見てしまった。


向こう側は真っ暗で何も見えない、闇だ。


怖くなってすぐにカーテンを閉めた。


「一緒に寝るって……?」


あたしは話しを戻してそう聞いた。


「あ、あぁ。でも、ほんと変な意味じゃなくて」


慌てる健にあたしは「わかってる」と、言った。


健はきっとなにもしてこないだろう。


でも、それならあたしの部屋に来たのはなぜ?


そう聞きたくても、聞く事ができない。


心臓はドキドキとうるさくて、言葉さえ飲み込まれてしまう。


「明日花……」


健の腕があたしの体を引き寄せた。


こんな異様な状況だからこそ、ここまで距離が縮まったんだろう。