体を揺さぶられて、あたしはうっすらと目を開けた。


視界がぼやけていてよく見えないけれど、あたしを覗き込んでいる顔があった。


一瞬、さっきまでの夢の続きを見ているのかと思ったけれど、違った。


意識がしっかりして来ると同時に頭に激しい痛みを感じて、あたしはうめき声を上げて体を丸めた。


「明日花(アスカ)大丈夫か?」


その聞きなれた声がクラスメートの北村健(キタムラ ケン)の声だと気が付くまでに、少しだけ時間がかかった。


「なんで……?」


なんでこんなに頭が痛いんだろう?


そう言いかけてあたしは今の状況に混乱した。


なんで健がここにいるんだろう?


あたしはどこで何をしていたんだろう?


その記憶がひどく曖昧だったからだ。