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いつの間にか朝がやってきていた。


物音が聞こえてきてあたしは目を覚ました。


健も目を開ける。


「今の音、なに?」


「さぁ……?」


健が欠伸をしてそう言った時、大きな声が聞こえて来た。


伶香の喘ぎ声だ。


その声に驚きあたしと健は同時にベッドから起きだしていた。


弘明と伶香は恋人同士だ。


そういう関係になっても不自然じゃない。


建物から出られないと分かった今、お互いを必死で求め合う気持ちも理解できる。


だけど、あまりにも大きなその声には違和感があった。


普通じゃない。


伶香の声に混ざって弘明の息遣いまで聞こえてきている。


部屋を出たあたしたちだったが、声が聞こえる方のドアを見て足を止めた。


それは突き当りのあの部屋から聞こえてきているのだ。


「嘘だろ!?」


立ちどまっていた健が弾かれたように走りだす。


あたしも慌ててその後を追いかけた。