「マミちゃんは何人かの友達にイジメられていたの」


「うん……」


昨日健が言っていたことを思い出す。


あれは本当だったんだ。


「その主犯が、弘明だった」


その言葉にみんなの視線が弘明に集中した。


弘明はすでにその事を思い出していたのか、少したじろいただけで驚いた表情は浮かべなかった。


「あたしと伶香は時々そういう場面に遭遇して、一緒になってマミちゃんの悪口を言ってたんだよ」


郁美の言葉に伶香は泣きそうな表情になった。


「ごめん……あたし、覚えてない……」


「伶香は本当にごくたまにだったから仕方がないよ」


郁美はそう言って伶香をなだめた。


「健と明日花はどうなんだよ」


弘明がそう言った。


「そんなの、自分でももう思い出してるんでしょ?」


郁美はそう言った。


「2人はなにもしてない。むしろ、マミちゃんをいじめていた子は他に沢山いた」


「それってつまり……?」


あたしが聞くと「イジメが問題でここに集められたわけじゃないってこと」と、郁美が言った。


やっぱり、そうだったんだ。


マミちゃんの事を思い出しても、ここから出るための記憶はまだ戻っていない。


「みんな、マミちゃんがいなくなった時の事を覚えてる?」


郁美に言われて、あたしは首を傾げた。


マミちゃんがいなくなった?


何の事だろう?