明日もう1度頑張れば、今度こそこの建物からの脱出方法が見つかるはずだ。


そう思って眠りについたあたしと健は、悲鳴で目を覚ました。


部屋の中は窓からの光で明るくなりはじめている。


「なんだ、今の声」


健がそう呟いた時、廊下から「誰か来て!!」という声が聞こえてきて、あたしたちはベッドから飛び起きた。


「今の、伶香の声だ」


「あぁ。行こう」


健がドアを開けて部屋を出る。


あたしもその後に続いた。


廊下に出た瞬間、異様な光景が目に飛び込んできた。


伶香が座り込んで震えながら何かを見ている。


その視線の先には体が溶けかけている郁美の姿があったのだ。


一瞬何が起こったのか理解ができなかった。


郁美の後ろの廊下には、溶けた肉片が所々に落ちていて、それは突き当りの部屋まで続いていた。


「まさか……!」


健が大きく息を飲む音が聞こえて来た。


「くそ、なんでこんな事に!」


弘明がそう言いながらタオルを持って走って来た。


そのタオルで郁美の体を包み込む。


「郁美……なんで……?」


立っているのもやっとの状態で、あたしはそう聞いていた。