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それから1時間ほど経過した時、リビングダイニングには全員が顔を出していた。


洗面所からは洗濯機が動く音が聞こえてきている。


「今更気が付いたけれど、この部屋ってちゃんと電話があるね」


郁美がそう言い、壁を指さした。


入口のすぐ近くに白い壁と同化するような形で、電話が取り付けられているのが見えた。


同じ白色だし、昨日はとにかく混乱と疲れがあってそんな所しっかり見てなかった。


「この電話で外と連絡とればよかったんだ」


伶香がそう言い、おかしそうに笑った。


「ま、もうその電話も必要ねぇな。洗濯が終わったらすぐに出るだろ?」


弘明が誰ともなくそう聞き、みんなが頷いた。


できるだけ早くこの建物を出たほうがいい。


暗くなると森の中をさまようことになる。


こうして、あたしたちは朝食を全員で食べて洗濯物を干すと、すぐに建物から出たのだった。