あたしはジッと健の言葉を待った。


「何人か、あの子をイジメてたヤツがいるんだ」


「……え?」


あたしは健から身を離してそう聞き返した。


イジメなんて話は今初めて聞いた。


グループに入れてもらえないマミちゃんを見たことはあったけれど、イジメとまでは言えないくらいの事だった。


「公園でみんなで遊んだ後、何人かで残ってあの子をからかってたのを見たことがある」


「……そうなんだ……」


「だけど、俺、それを止めようとはしなかったんだ」


健はそう言い、大きく息を吐き出した。


「でも、健はイジメに加わってないんだよね?」


「見て見ぬふりも、イジメだろ」


健の言葉にあたしは返事ができなくて俯いてしまった。


傍観者もイジメの1人。


健の言いたいことはわかる。


「もし、その頃の事が原因でここに集められているとしたら……この建物を作ったのマミちゃんなのかもしれない」


健が言う。


「そ……んな……」


あたしは眉を寄せて健を見た。