「そういえば、そんな子がいたな」


健が思い出したようにそう言った。


「でしょ? 7人目って、きっとマミちゃんの事だったんだよ!」


鍵のかかったあの部屋は、マミちゃんの為に用意されたものだ。


「ってことはなに? そのマミちゃんに関する数字を入力すればあの部屋は開くってこと?」


1人マミちゃんの記憶を思い出さないままの伶香がそう聞いて来た。


伶香はあたしたちとの記憶も少ないから、仕方のない事だった。


「たぶんね?」


あたしはそう返事をした。


でも、ここからが問題だった。


今までマミちゃんの事を思い出さなかったあたしたちが、マミちゃんに関する数字を思い出せるわけがないのだ。


誕生日や家の住所やクラスの番号。


誰も、何も覚えていない。


「今日は十分前進できただろ。また明日あの部屋に入ることになるけれど、それまでゆっくりや休もうか」


健がそう言い、みんなは頷いたのだった。