昼ご飯を食べた後、あたしたちは誰ともなく鍵のかかった部屋の前に集まっていた。


あの会話の後だから、どうしてもこの部屋が気になるのだ。


健の手にトシが落書きをした紙がにぎられていて、健はそれをドアに張り付けた。


「その女の子の事で、他に何か思い出さないか?」


そう聞かれて、あたしと弘明は目を見交わせた。


「今のところ、なにもないな」


弘明がそう言いあたしも「ないよ」と、返事をした。


あの部屋にもう一度入ればもう少し何かを思い出すかもしれないけれど、気絶してしまったあたしと弘明を部屋に入れるような事は、きっと健がさせてくれないだろう。


「そっか」


健はアッサリ引き下がり、今度は数字板へ視線をやった。


「その女の子に関する番号を入力すれば開くような気がするよね」


郁美が県の後ろからそう言った。


「あぁ。きっと、そう言う風になってるんだろうな」


健は頷いた。


「ねぇ、その子と今も連絡を取り合ってないの?」


伶香にそう言われてあたしは驚いて目を丸くした。


「どういう意味?」


「だってさ、あの公園のメンバーの子だったんでしょ? だったら学区が同じとか、明日花や健や郁美の近くにいても不思議じゃないと思うんだけど」


確かに、遠い所から時々遊びに来ていた伶香に比べれば、あたしたちの方が彼女との接点は多いのかもしれない。