「よかった……」


ホッと胸をなで下ろして弘明から離れるあたし。


「何度もあの部屋に入った事で、影響が出てるのかもしれないな」


健も安堵のため息を吐き出したけれど、すぐにそう分析した。


もしそうだとすれば、あたしたちは今日この部屋に入ることも危険かもしれない。


「弘明、大丈夫?」


「あぁ……頭の中が浮いてるみたいだ……」


伶香の手を借りながら上半身を起こし、壁によりかかって座る弘明。


「あの中で何があったの?」


郁美がそう聞いた。


「わからない……入った瞬間意識が遠ざかって行って、気が付いたら廊下にいた」


弘明が申し訳なさそうにそう言った。


「それじゃ、今回はなにもわからなかったんだね」


郁美が言う。


しかし、弘明は左右に首を振ってそれを否定した。


「いや、気絶している間俺はずっと夢を見てたんだ」


「夢?」


健が聞き返す。


「あぁ。小学校の頃、お前らと一緒に遊んでた時の夢だ。あの中に1人だけ少し変わった女がいたことを思い出したんだ」


「変わった女?」


健が首を傾げた。


あたしも健と同様に首を傾げる。


そんな子、いたっけ?


あの公園内ではみんな仲が良くて、特に変わった様子の子がいたようには思えない。