「気絶してるのかもしれない。ドアを開けるのを手伝ってくれ」


健に言われてあたしたちはドアに両手をかけた。


「せーの!」


と声を上げて一気にドアを押す。


重たいドアはズズズッと少しずつ開いていく。


人が1人分通れる幅まで開いた時、すぐに伶香が部屋の中へと入って行った。


「弘明!!」


伶香の声に健が続いて部屋に入る。


あたしと郁美もそれに続いた。


思った通り、部屋のドアの前には弘明が座り込んでいた。


その意識はなくヨダレをダラリとたらした状態で目を閉じている。


「まずいぞ。すぐに運び出さないと」


健はそう言い、弘明の体を力付くで持ち上げた。


伶香がそれを手伝い、重たい弘明をどうにか廊下へと運び出して来た。


「弘明! 弘明起きて!!」


伶香が泣き出しそうになりながら弘明の体を揺さぶる。


「しっかりして、弘明!」


あたしと郁美も一緒になって弘明に声をかける。


次の瞬間、弘明がハッと息を吸い込んで目を開けたのだ。


「弘明!!」


目を開けた途端伶香が弘明の体に縋り付くようにして抱き着いた。