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伶香の不安が的中したのはそれから2分後の事だった。


だいたい5分が経過した所であたしたちは弘明に声をかけた。


しかし、中から反応がなかったのだ。


「弘明、どうしたの!?」


伶香が何度もドアをノックして声を上げる。


それでも弘明からの返事はなかった。


「仕方がない、無理やり連れ出すしかないな」


健はそう言い、伶香をドアの前から移動させた。


ドアを開けるためにノブに手をかける。


が、すぐに健は眉間にシワを寄せた。


「どうしたの!?」


伶香が聞く。


「ドアが開かない」


「開かないって、そんなハズないじゃん!」


伶香が叫ぶようにそう言った。


「だよね。ドアに鍵はなかったよね?」


あたしは郁美に聞いた。


郁美は「そうだね。なかったと思う」と、頷いた。


「それなら、きっと弘明がドアにもたれかかってるんだな」


健はそう言い、ドアを力付くで開けようとする。


少しだけ隙間が開いたものの、動かない。


伶香がその隙間から中の様子を確認するが、弘明の姿を見つける事はできなかったようだ。


「弘明、ドアの前にいるの!?」


伶香が声をかける。


しかし、返事はなかった。