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「弘明大丈夫かな?」


伶香がそう言ったのは弘明が部屋に入って3分ほどが経過した時の事だった。


「まだ時間じゃないし、大丈夫だよ」


あたしは伶香を安心させるためにそう言った。


しかし、伶香は不安そうな表情のままドアを見つめている。


「なにがそんなに心配なの?」


そう聞いたのは郁美だった。


「なんだろ? わかんないけど、いつもの弘明じゃなかった気がしたの」


伶香の言葉にあたしと郁美は顔を見合わせて同時に首を傾げた。


「そう?」


「気にし過ぎじゃない?」


あたしたちがそう言っても、伶香は反応しなかった。


長く弘明と付き合っている伶香だからこそ気が付いた何かがあるのかもしれない。


「どっちにしても、5分たったら無理やりでも部屋から連れ出す。だから心配することはない」


健が伶香の肩を叩いてそう言った。


「そう……だよね?」


「そうだよ。健はこう見えて力も強いし、あたしたちだっているんだから」


あたしはそう言い、伶香へ向けてほほ笑んだのだった。